インド音楽(インド古典音楽)

Pocket

インド古典音楽は、その名の通り、インド圏で発展した音楽です。

インド古典音楽には、私たちが普段日本で身近に聞く音楽と違う点がたくさんあります。

ラーガ

一つには、インド音楽はメロディ(旋律)が音楽の基本となっていることがあります。日本で生活していると、普段耳に入る音楽(西洋音楽)は、和音が基本になってますよね。そういった音楽とは、基本的な部分から違います。

特に、インドでは、メロディについては、「ラーガ」というものが用いられます。ラーガ ヤマン、ラーガ バイラビ、ラーガ ○○ ・・・ といったように、ラーガという大きな概念の括りの中に、たくさんの個別のラーガがあります。

ラーガは、「心を彩るもの」と訳されます。音楽を聴くと、その音楽の色に心が染まりますよね。インド音楽の場合、ラーガを聴くと、そのラーガの色に心が染まる、と考えるんですね。

音程

また、音についても、感じ方が違います。インド音楽のメロディで使う音は、一つの基準となる音(”サ”といいます)との距離、間隔で決まっています。西洋音楽のような和声進行を使う音楽であれば、基準となる音は和音が変わるたびにかわりますよね。インド音楽の場合は、1回の演奏の最初から最後まで、ずっと基準の音は変わりません。

さらに言えば、音程の正確さに対してはかなり厳しいです。音が正確でないと、音楽に力が生まれてこないようです。

アミット・ロイは、音が外れている生徒に対して言います。

「毎日イスをキレイに磨かないとだめだよ。イスをキレイに磨かないと、神様はそのイスに座ってくれないよ」

と。

もちろん、ここで言う「イス」とは、音程のことです。音程が正しいか正しくないかは、神様が座ってくれるかどうかに関わっています。そして、神様が座ってくれるかどうかは、音楽に力が生まれるかどうかに関わっています。

音楽の力

インドでは、音楽には力があると考えてきたようです。

こうした考えがあることを裏付けるもので、インドに以下のような物語が残されています。

タンセンのお話

その昔、タンセンという音楽家が、王様から ラーガ ディパク を歌えと命じられたそうです。ディパクは、火のラーガです。歌うと、そこらじゅうに火がついて燃えると信じられていました。タンセンは王に言います。「燃えるので歌えません」と。しかし、王は「構わぬ、歌え」といいます。それで、やむなくタンセンはディパクを歌います。

すると・・・

大変です。周りにあったいろいろなものが燃え上がり始めます。このままでは、みんな焼け死んでしまいます。

タンセンには奥様がいました。奥様も、一流の歌い手です。その彼女が、夫の危急の事態を聞きました。

そこで彼女は、夫を救うために ラーガ マルハール を歌います。ラーガ マルハールは、雨のラーガです。彼女の歌で、天から雨が降ってきて、火が消え、大事に至らずに済みました。

ビラースカーンのお話

タンセンが亡くなった時に、お葬式でタンセンのお弟子さんたちが歌を歌いました。

そのお弟子さんたち中に、ビラースカーンがいました。

ビラースカーンは、ラーガ トーディ を歌おうとしましたが、あまりの悲しさのため、ラーガ トーディをちゃんと歌えません。音が変になってしまってます。

しかし、その歌を聴いて、タンセンの棺が、ゴトゴトッ、ゴトゴトッと動きました。

このときにビラースカーンが歌った トーディ は、ビラースカーンのトーディとして、現代まで歌い継がれています。

ミーンド

具体的には、音階の違い、リズムの違い。音の考え方、感じ方の違い、などです。

祈り

インドの音楽は、本来、祈りの要素が強い音楽です。

アミット・ロイは言います。

「音楽ってどうやってできたか知ってる?昔、大きな洪水があって、みんな流されちゃったの。それで、生き残った人たちが、全て流されたあとの惨状を見て、神様に祈るような気持ちになって、口から自然に出てきたのが音楽なの」

この話の真偽はさておいて、このような考え方をする背景には、本来インド音楽は「祈りの気持ち」が強い音楽、という側面があるということます。

インド音楽の演奏では、最初に、リズムのない歌(旋律)を演奏します(アラープ、といいます)。このような歌(旋律)は、まさに、祈りの気持ちを強く表しています。

(文責:佐野敏幸)

 

 

 

Pocket